誰かに教わるわけじゃないけれど、いつの間にか知っているペダルの使い方。
足で踏めばいい!
そんな単純なペダルも、実は奥が深いのです。
でもその前に……。
いつもそこにある3本のペダル。
それぞれの役割、知っていますか?
今回は、結構な確率で皆さんから聞かれる「ペダル」についてお話したいと思います。
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一番よく使われる、右のペダル『ダンパーペダル』
このペダルは有名なせいか、皆さんよく知っているようですね!
このペダルは『ダンパーペダル』と言って、アップライトピアノもグランドピアノも両方同じ役割を果たします。
では、そもそもダンパーとはなんでしょうか?
グランドピアノの中を覗くと、黒い物が弾くたびにピョコピョコしているのを見たことがあると思います。
鍵盤の先にハンマーが付いていて、それが弦を叩くことによってピアノは音が鳴ります。
その弦の振動を止める役割をするのがこのダンパーたち。
ペダルを踏まないで鍵盤を押さえると、その鍵盤のダンパーが上がります。
そして鍵盤から指を離すと、そのダンパーが降ります。
でも鍵盤から指を離しても音が鳴り続けて欲しいとか、音にもっと響きが欲しい、そんな時に活躍するのが一番右のペダル『ダンパーペダル』というわけです。
ダンパーペダルを踏んでいる間、全てのダンパーが上がりっぱなしになります。
右足を離すまでダンパーが降りないので、弦は振動したままということになります。
これは右足で踏みます。
ピアノのレベルが上級になってくると、このペダルの踏み加減を変えて音の響かせ方を微妙に変えたりもします。
しかも使用するピアノによってペダルの堅さや重さがまちまちなので、奏者は瞬時にそのピアノの特性を掴んでペダルの踏み加減を微調整しないといけません。
アップライトピアノとグランドピアノで役割が完全に違う、真ん中のペダル『マフラーペダル』と『ソステヌートペダル』
まずは皆さんに馴染みのあるアップライトピアノの『マフラーペダル』について見てみましょう。
このペダルもかなりの確率で使われているのではないでしょうか。
このマフラーペダルを踏んで左へ少しずらしてあげると、ペダルが踏まれた状態を保つことが出来ます。
このマフラーペダルを踏むことで、ピアノの弦とハンマーの間にフェルトが挟まれます。
そのフェルトの上をハンマーが叩くので音量が小さくなる、という仕組み。
音に響きがなくなってしまうので、指先のコントロールで音色を変えるという勉強を始める中級以降の人は、出来るだけ使用しないで練習するのが望ましいと思います。
では次に、グランドピアノの『ソステヌートペダル』について見ていきます。
正直に言いましょう。
え……っと、それもそのはず。
このペダルが開発されたのは19世紀後半。
ふだん私たちがよく弾くようなバッハやモーツァルト、ベートーヴェンやショパンたちの時代にこのペダルは存在していませんでした。
おかげでこのペダル、今のところ出番なし!
ではペダルの名前になっているソステヌートとはなんでしょうか?
ソステヌート(sostenuto)とは音楽用語で「音を充分に保って弾く」という意味です。
伸ばしたいと思う音を弾いた後にこのソステヌートペダルを踏むと、その音だけがまるでダンパーペダルを踏んだ時のような状況になります。
ソステヌートペダルの影響下にない音は通常通りの状態で弾ける、というわけです。
特定の音だけを伸ばしたい、でもそれ以外の音は混ざって欲しくないとか、特定の音がすごく遠くにあって押さえっぱなしじゃ弾けないわって時に重宝します。
使う足ですが、その時その時の状況に合わせて臨機応変に左だったり右だったりと、両足を使い分けることになるかと思います。
アップライトピアノとグランドピアノで使用感は似ているけれど構造が全く違う、一番左のペダル『ソフトペダル』と『シフトペダル(ウナ・コルダ)』
今度は一番左のペダルを見ていきましょう。
まずはアップライトピアノの『ソフトペダル』について。
左足で踏みます。
このソフトペダルを踏むと、ハンマーが弦に近づきます。
そのため、通常より打弦の距離が短くなります。
つまり、ハンマーに勢いがつかなくなるのでソフトな音になるわけですね。
なるわけなんですが……。
ボロいピアノは正直違いがよくわかりません。
踏んでも踏まなくても変わらない……まるでお飾り状態な物も結構あります。
いいアップライトピアノできちんと調整されている物であれば、ちゃんと音の違いがわかりますよ。
ではグランドピアノでは何がどう違うのか。
グランドピアノの『シフトペダル』を見ていきましょう。
ちなみに、このシフトペダルは別名『ウナ・コルダ』とも言います。
楽譜上で指示される時は、ウナ・コルダ(una corda)という言葉が使われますので覚えておきましょう。
使い方はアップライトピアノのソフトペダルとほぼ同じですが、構造がアップライトピアノの時と全く違います。
このシフトペダル(ウナ・コルダ)を踏むことで、ハンマーが右に少しだけスライドします。
ピアノの弦というのは、だいたいよく弾かれる真ん中の方は1音に対して弦が3本張られています。
通常は、ハンマー(手前に見えている白い物)がこの3本の弦を同時に叩いて1音を出します。
しかしシフトペダル(ウナ・コルダ)を踏むことによってハンマーを右にスライドさせ、2本の弦だけを打弦する。
これがアップライトピアノのソフトペダルとグランドピアノのシフトペダル(ウナ・コルダ)の大きな違いです。
では3本の打弦が2本になることで何が違うのでしょうか?
アップライトピアノでは表現しきれない、微妙な音色の変化が可能になります。
こちらもレベルが上級になると、一番右の『ダンパーペダル』に次いで使用頻度の高いペダルとなります。
まとめ
たかがペダル、されどペダル。
ペダルはただ踏めばいいというものではなく、その微妙な踏み加減でも音色が変わってくるという、実は厄介な存在。
感覚だけで踏めるようになるには、やはりピアノを弾く練習と同様、ペダルを操作する練習が必要になってきますよ。
当教室でも、ピアノがある程度のレベルになった時点で、ペダルについての指導も行っています。
けっこう皆さん、ひ〜ひ〜言っていますよ。(笑)
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